リテールメディアとは、リテール（小売）企業が自社で保有する顧客に関するデータなどを活用し、広告を効果的に配信する仕組みのことです。 今回は「リテールメディア」に焦点を当て、その概要や注目される理由、メリット、実施ステップ・必要な準備、実施する際の注意点、活用事例などをご紹介します。気になるポイントを一挙確認しましょう。

リテールメディアとは？

リテールメディアとは、リテール（小売）企業が自社で保有する顧客に関するデータなどを活用し、広告を効果的に配信する仕組みのことです。また、リテール企業がメーカーやブランド企業に向けて、自社データを活用した広告を販売する新たなビジネスモデルとも言えます。

リテールメディアが注目される理由

人口減少やデジタルデバイスの普及、顧客の購買行動の変化などをきっかけに、「モノの販売」のみでは安定的な売上や収益の確保が困難な時代になりつつあります。自社のECサイトや店舗アプリなどを活用しながら、顧客の購買行動に則した精度の高い広告を配信することで、顧客との関係性強化や、社外競争力を維持することが可能です。また、リテールメディアを実施すると、企業間で効果的な共同販促が行えるだけでなく、広告収益も獲得できるという観点から、新たなビジネス戦略としても近年注目されています。

リテールメディアのメリット

リテールメディアは、リテール企業・ブランド企業・顧客の3者にメリットのあるビジネスモデルです。ここではそれぞれの視点から見たメリットについて解説します。

1.リテール企業

リテールメディアのビジネスモデルは、ブランド企業がリテール企業に広告費を支払うことでプロモーションを行う仕組みです。リテール企業は、顧客情報や、ECサイト、店舗アプリなど既に保有する資産を活用して収入を得られるというメリットがあります。

2.ブランド企業

ブランド企業は、リーテル企業が持つ詳細な顧客情報を活用することで、新規顧客の開拓やブランディングが行えます。信ぴょう性のあるデータを活用できるので懸念点が少なく、リスクを最小限に抑えた広告配信が可能です。

3.顧客

リテールメディアでは、顧客の閲覧・行動履歴などをもとに情報を収集します。顧客の趣味・趣向に近い広告が配信されるので、より質の高い購買体験が期待できるでしょう。

リテールメディアの実施ステップ

リテールメディアの実施ステップは以下です。ぜひ参考にしてみてください。

リテールメディアの実施に向けて必要な準備

ここでは、リテールメディアの実施に向けて必要な準備について3点解説します。

1.Beaconの設置

正確な効果測定には、計測の仕組みが重要です。実店舗への来店計測はGPSでも可能ですが、正確な数値を出しにくいというデメリットがあります。Beacon（※）を設置することで、棚前行動や来棚計測などより細かい計測が可能です。

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※Bluetoothの信号を活用した技術やデバイスのこと。受信機能を搭載したアプリがインストールされた端末が電波受信範囲内に入ると、電波をキャッチし、顧客の来訪を認知できる。

2.ID-POSの利用許可

効果測定には、顧客のリアルな購買行動がわかるID-POSデータ（※）の活用も有効です。ID-POSデータの利用許可が取れれば、ターゲティング・分析・レポート作成がしやすくなるでしょう。

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※顧客のIDが紐づいた購買データ。いつ、どこで、どのような商品が、どのような人に買われたのかについて分析できるデータ

3. 広告媒体資料の作成

リテールメディアを実施する際、広告の出稿先から、 広告媒体資料の提示を求められることがあります。広告媒体資料には媒体別の配信費用、IMP、広告クリック数、CTR、CPM、CPC、来店者数、来店単価、来店率、顧客のセグメントなどの記載が必要です。事前に資料の準備をしておきましょう。

リテールメディアを実施する際の注意点

ここでは、リテールメディアを実施する際の注意点について2点解説します。

1.体験設計

リテールメディアでは利益を追求しすぎると、結果的に顧客から嫌悪感や不信感を買い、顧客離れの原因につながることがあります。リテールメディアは、あくまで質の高い購買体験を顧客に提供するという目的を忘れずに、配信する広告の内容を工夫しましょう。

2.プライバシー保護

リテールメディアは、基本的にリーテル企業が独自で収集した情報を活用しますが、プラットフォームなどを活用する場合は、そのベンダーに情報が共有されてしまう点に注意が必要です。トラブル防止の観点から、情報の扱いやセキュリティ対策に気を配り、顧客が安心できる工夫を凝らしましょう。

リテールメディアの活用事例

ここでは、リテールメディアの活用事例について2社ご紹介します。

1.Amazon：海外

Amazonは、アメリカのリテールメディア市場における約80%のシェア率を誇っています。1つ例に挙げると、Amazonで商品を検索した際に表示されるスポンサーラベルは広告枠です。検索キーワードに応じた広告が表示される仕組みになっているので、例えば「Tシャツ」と入力した顧客にはTシャツに関連した広告を、「炭酸飲料」と入力した顧客には炭酸飲料に関連した広告が表示されます。顧客の強い購入意欲に対して、関連性が高い広告を表示できる点は、Amazonの大きな強みと言えるでしょう。

2.株式会社セブン‐イレブン・ジャパン：日本

コンビニ大手の株式会社セブン-イレブン・ジャパンでもリテールメディアに積極的です。日々の膨大な購買データを分析し、セブン-イレブンアプリを基点として広告を配信しています。顧客に紐付いた独自のID-POSを保持しているので、よりピンポイントでの広告宣伝を可能にし、安定的な売上の確保に成功しています。

リテールメディアを活用して自社のマーケティングに役立てよう！

このページでは、「リテールメディア」に焦点を当て、その概要や注目される理由、メリット、実施ステップ・必要な準備、実施する際の注意点、活用事例などについて解説しました。

リテールメディアは今後さらに注目を集め、実施に踏み切る企業が増えると予想されます。先行者利益を大きくするという観点から、早期からリテールメディアの実施を検討してみてはいかがでしょうか。

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