ペルソナとは?マーケティング上の意味や設定・分析方法、作り方を解説!
ペルソナという言葉はなんとなく聞いたことがあるけど、具体的な設定の仕方や使い方がわからないという方も多いのではないでしょうか。 本記事では、ペルソナとターゲットの違いから、設定するメリット、ビジネスシーンでの使い方までわかりやすく解説します!
ペルソナとは
ペルソナとは、ラテン語で「仮面」を意味する「persona」に由来するマーケティング用語で、かつては心理学において使用されました。しかし現在はビジネスシーンでよく使用されており、マーケティングにおいてサービス・商品の最も典型的な架空のユーザー像を意味します。ペルソナは、実在している人物であるかのように、年齢、性別、居住地、職業から、趣味、価値観、休日の過ごし方まで詳細に設定されることが特徴です。
ペルソナとターゲットの違い
理想のユーザー像を設定する際に、ペルソナとターゲットを混同している方も多いかもしれません。ペルソナとターゲットの違いは一言で言うと「設定の細かさ」です。
ターゲット |
---|
20代~30代、男性、会社員、体を鍛えたい |
ペルソナ |
---|
・名前:山田たかし ・年齢:27才 ・性別:男性 ・職業:会社員、営業職 ・年収:400万円 ・配偶者:なし ・居住地:新宿区 ・趣味:筋トレ、サウナ ・価値観:仕事も遊びも全力 ・ニーズ:モテたい、仕事で評価されたい |
上記はジムの入会希望者を例にしたものです。・ターゲットはある程度幅を持たせた設定であるのに対し、ペルソナでは、具体的な部分まで設定することで、リアリティのある人物像を作り上げます。
ペルソナを設定するメリット
|
人物像の認識をすり合わせられる
ペルソナを設定する1つ目のメリットは、メンバー間でターゲットとする人物像の認識をすり合わせられることです。商品開発やマーケティングには多数の人が関わります。メンバー間で、共通の人物像を明確にイメージできている状態にすることで、コミュニケーションコストが減り、意思決定や、プロジェクトの進行を効率よく行うことができます。
ユーザーニーズを明確にできる
ペルソナを設定する2つ目のメリットは、ユーザーニーズを明確にできることです。具体的な1人のペルソナのニーズを徹底的に満たす商品やサービスを目指すことで、特定のニーズを持った人に深く刺さるものを生み出すことができます。「ターゲットを絞りすぎると、少数の人にしか商品を届けられないのでは?」と感じるかもしれませんが、ペルソナのニーズを満たすように作られた商品・サービスは、同じニーズを持った多くのユーザーに刺さります。反対に、ターゲット設定が曖昧であれば、誰の心にも深く刺さることはないでしょう。CVにつなげるためには、特定のターゲットから、圧倒的に支持される商品・サービスを作ることがポイントです。
より精度の高いマーケティングができる
ペルソナを設定する3つ目のメリットは、より精度の高いマーケティングができることです。例えば、「30代女性、都内在住」というターゲット層でも、既婚か未婚か、子供の有無、子供の年齢などで、ライフスタイルやお金の使い方は大きく異なります。
ペルソナを設定することで、想定するユーザー像を明確にイメージすることが可能。マーケティングの方針や施策をより効果的なものだけに絞ることができます。
ペルソナを設定するデメリット
ペルソナを設定するデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
設定に時間がかかる
ペルソナの設定は、細かなレベルで考慮して設定する必要があるため、設定に時間がかかることがデメリットとして挙げられます。
例えば、商品やサービスを特定の消費者にマーケティングする場合、その消費者の属性、ニーズ、行動パターンなどを理解する必要があります。さらに、取り扱う商品やサービスによっては、利用するユーザーの属性の幅が広がるため、複数のペルソナ設定をする必要があるでしょう。
正確な情報の元、具体的な人物像を描けないとペルソナを作る意味が薄れてしまうため、様々なデータを整理して深く分析しなければなりません。結果、正確に顧客像を作成するのに膨大な時間がかかる可能性があります。
定期的なブラッシュアップが必要
ペルソナは、常に変化する市場やユーザーのニーズに合わせて最新情報を反映させる必要があるため、定期的なブラッシュアップが必要です。
一度ペルソナを設定し、仮にビジネスがうまくいったとしても、新しいトレンドが生まれたり、社会情勢の変化によって価値観が変わったりと、ずっと順調に売れ続けるということはありません。
また、ペルソナ設定が間違っていて結果が出なかった場合は、改めてリサーチを行い、設定し直すことも必要です。
時間が経つとユーザーのニーズや嗜好が変化する可能性があるため、定期的にペルソナを見直すようにしましょう。
ペルソナマーケティングはもう古いのか?
理由1.AIの技術の発展
ペルソナマーケティングが古いと言われる要因は、AIの技術発展が挙げられます。
近年ではAI技術の進歩により、個別の顧客をより正確に理解し、パーソナライズされたマーケティングを実現することができるといった意見があります。現状、AIは来てくれた人におすすめの情報を表示することはできますが、その前工程の「どんな人に来て欲しいのか」を設計する力は弱い傾向があります。
現状だけを見ると、AIだけで商品の開発や企画段階の時点で顧客ニーズに応えることは難しいと言えるでしょう。
しかし、AI技術はあくまでツールであり、人間の洞察力やクリエイティビティとの組み合わせが重要です。顧客の心理や感情を深く理解するために、今後はAIとの組み合わせによってより強力な戦略を構築することが可能になるでしょう。
理由2.製品・サービスとユーザー接点の多様化
ペルソナマーケティングが古いと言われる要因は、ユーザーが製品やサービスの存在を知る機会が多様化しているためです。
従来のペルソナマーケティングは、一方向のコミュニケーションに基づいており、企業が顧客に対してメッセージを送り込むというアプローチでした。近年では、デジタル広告やSNSなど日常的に接点は溢れているおり、ユーザーとのコニュニケーションが容易です。
例えば、ソーシャルメディアやレビューサイトの普及により、他のユーザーはユーザー生成コンテンツを通じて、製品やサービスに対する信頼性や評価を判断ができます。したがって、「誰が買うか」ではなく「どのような場面で買うか」が重要視されているのです。
ペルソナの価値がなくなったわけではなく、購買シーンの考慮も必要になっていると言えるでしょう。
時代に合ったペルソナマーケティングを行うために
時代に合ったペルソナマーケティングを行うために、ペルソナ像の設定自体も、時代やニーズの変化に合わせてアップデートしていくことが求められることが予想されます。
実際、近年のユーザーを取り巻く変化や、製品・サービスに触れる機会の変化は大きいです。ペルソナマーケティングが不要になったというより、従来の方法では不十分になっている可能性があります。
今後は、AIによってデータ駆動のアプローチを採用し、SNSでのリアルタイムの対話とパーソナライズを重視し、継続的な改善を行いながら、時代の変化を考慮したペルソナマーケティングが必要になるでしょう。
ペルソナを設定する際に注意すべきポイント
|
正確な情報から作成する
ペルソナを設定する際には、データをもとに、正確な情報から作成するようにしましょう。ペルソナ設定の際に、担当者の主観や「こうであってほしい」という希望を強く反映してしまうと、ユーザーの実態とズレが生じます。SNSやネット上の口コミといったユーザーの生の声や、アンケートなどのデータを徹底的に収集し、ペルソナの設定が正確かどうかをしっかり分析することが重要です。
わかりやすい人物設定を心がける
ペルソナ設定では、具体的な人物設定が重要ですが、あまりにも複雑になりすぎるとマーケティングの方向性に迷うことも。メンバー間で共通のイメージを共有しやすいように、不必要な要素は削りましょう。ペルソナは誰もがイメージできる平均的な人物像であることが望ましいです。よりイメージを明確にするために、ペルソナの写真や似顔絵を設定するのも効果的でしょう。
ペルソナにズレがないか、定期的に再考する
ペルソナ設定後は、現実のユーザーとズレがないか定期的に再考する必要があります。
現実ユーザーを取り巻く環境やニーズは、常に変化するものだからです。
社会情勢や流行に目を配り、現実ユーザーの動向を分析することで、定期的にペルソナをアップデートしましょう。
ペルソナを作るときに含めるべき要素
|
プロフィール
プロフィールでは、ペルソナの人物像にフォーカスして属性を明確にします。
具体的には、
|
などが挙げられます。
プロフィールの設定は、商品やサービスを購入する人の属性に焦点を当てた情報で、具体的なイメージの想起に役立ちます。
仕事
BtoB市場では、企業や組織が他の企業や組織に対して商品やサービスを提供するため、ペルソナの仕事に関する情報が重要です。
ペルソナの仕事に関する情報は、主に以下のようなものが挙げられます。
|
ライフスタイル
ペルソナのライフスタイルを設定することで、生活習慣を明確にでき、お金や時間を何に使っているかを把握できます。特にBtoCの商材を考える上で効果的です。
ペルソナのライフスタイルに関する情報は、主に以下のようなものが挙げられます。
|
価値観・考え方
ペルソナ設定における価値観や・考え方は、ライフスタイルや購買を決める、本質的な根拠になるものです。ペルソナをより深掘って設定する上で役立ちます・
ペルソナの価値観・考え方に関する情報は、主に以下のようなものが挙げられます。
|
課題・ニーズ
ペルソナ設定における課題・ニーズは、具体的に商品を選んでもらうための決め手を考える上で役立ちます。
ペルソナの課題・ニーズに関する情報は、主に以下のようなものが挙げられます。
|
ペルソナの分析手順
|
自社の分析を行う
まず、ペルソナの設定を行う前に、自社に対して正しい認識を持たなければなりません。なぜなら、ターゲット市場のニーズや行動パターンを理解するためです。
自社の分析を行う際は、3C分析がおすすめです。
3Cとは、
|
の3つの観点から自社を分析することで、市場環境や競争状況を理解し、ビジネスの成功に向けたペルソナ設定をする際に役立つでしょう。
自社の分析を行う注意点は、根拠のない仮説や主観に基づいてはなりません。可能であれば、信頼性の高いデータを使用し、市場における自社の立ち位置を整理するようにしましょう。
ペルソナの要素を決める
自社の分析が完了したら、ペルソナ設定に必要な要素を決めましょう。
例えば、年齢、性別、地域、職業などの基本的な情報から仕事内容、ライフスタイル、価値観・考え方について要素を決定していきます。より詳細な要素を設けたほうがユーザーに刺さる可能性が高まります。
ただし、多すぎる要素を設けるとターゲットが狭まり、逆効果となりかねません。また、過度な特徴の強調や偏りは避け、現実的で自社に必要な要素を絞り込むようにしましょう。
ペルソナ設定に必要な情報を集める
ペルソナの要素が決定したら、ペルソナ設定に必要な情報を集めましょう。
ペルソナ設定に必要な情報は、正確な情報がより重要となるため、内部的な知見に限らず、世の中の意見を取りいれることが重要です。
具体的には、SNSや掲示板、口コミサイトなど、オンライン上から客観的な情報を取得します、また、社内にリソースが不足しているのであれば、マーケティング会社や専門家に外注し、調査や分析を行ってもらうこともいいでしょう。
さらに精緻な情報を得るために、顧客へのアンケート調査やインタビューの実施なども有効です。予算に応じてできる限り良い情報を集めることで、より適切なペルソナ設定を行えるようになります。
具体的に内容を設定していく
ペルソナ設定に必要な情報が集まったら、ペルソナに具体的な内容を設定していきます。
その際に、収集した情報の中から重要な要素を精査し、優先順位を付けることが重要です。特に顧客のニーズや課題、購買パターン、行動のきっかけなど、ビジネスにとって重要な情報に焦点を当てましょう。
また、一度にペルソナを設定してしまうと、現実的ではないペルソナになってしまう可能性があるために、ペルソナの大枠を設定してから少しずつ要素を肉付けしていくように進めると失敗のリスクが下がります。
顧客の目標や課題、購買プロセス、購入意思決定の要素などを考慮し、ペルソナの体験や行動に関連するシナリオを設定すると、商品の認知から購入までのストーリーが明確になるのでおすすめです。
PDCAサイクルを回してアップデートする
ペルソナの設定が完了したら終わりではありません。定めたペルソナの効果測定を定期的に行っていく必要があります。
設定したペルソナが予想通りの効果を生み出さない場合、ペルソナの修正、再設定も考えなければなりません。また、収集したデータが不十分であったり、顧客のニーズや行動についての誤った仮定が含まれていた場合にも大きな効果は期待できないでしょう。
また、近年の市場の変化が早いため、一度うまくいったペルソナ設定も風化する可能性が高いため、定期的に見直す必要があります。
市場の変化に対応し、顧客中心のアプローチを維持するために、定期的なアップデートと改善を行い、PDCAサイクルを活用しましょう。
ビジネスシーンにおけるペルソナの使い方
ペルソナはビジネスシーンにおいて、マーケティングや企画、商品・サービスの開発、採用など至るところで使用されます。またペルソナ設定後に、ペルソナの購買行動を想定した、カスタマージャーニーを作成するのも、有効なマーケティング手法です。
ペルソナに関するQ&A
ペルソナの本来の意味はなんですか?
ペルソナは元々、スイスの心理学者カール・グスタフ・ユングの提唱した心理学用語です。仮面を意味する「Persona」からうまれた言葉で、人間の「外的側面」「内側に潜む自分」がペルソナと定義されています。
マーケティングや広告の文脈では、この心理学的な概念を応用し、特定のターゲット顧客を表す仮想的なキャラクターとしての「ペルソナ」が生まれました。マーケティングのペルソナは、顧客の特性や行動パターンを表現するためのツールであり、マーケティング活動や戦略の効果的な実施に役立ちます。
ペルソナを作る目的は何ですか?
ペルソナを作る目的は、実際の顧客が何を感じ、何を考えて、結果どう行動するのかをイメージしやすくするためです。
ペルソナを作成することで、顧客のニーズ、要求、行動パターン、関心事などを明確に把握し、ターゲット顧客に合わせた製品やサービスの提供、マーケティングメッセージの設計、販促活動の最適化が可能となります。
ペルソナは顧客中心のアプローチを実現し、市場競争において差別化や競争優位性を築くための重要なツールです。
ペルソナの項目例は?
名前、年齢、性別などの基本情報から、会社概要、業種、会社の売上などの仕事内容の他に、SNSの使用や商品の使用状況、ペルソナのライフスタイル、価値観・考え方が挙げられます。
ペルソナの項目は、特定のビジネスや業界に応じて、追加の項目や変更が必要な場合があります。
ペルソナ作成はユーザー像を一致させる上で、重要な工程!
ペルソナ作成はメンバー間でユーザー像を一致させる上で非常に重要な工程です!
ペルソナ設定をすることで、メンバー全員で「どんな人物をターゲットにするか」ゴールを明確でき、効率的にプロジェクトを進めることができるからです。
また、ペルソナは一度設定したら終わりではありません。現実のユーザーとズレが生じていないか、定期的に見直しを行いましょう。
株式会社ipeではユーザーのペルソナをしっかりと捉えたSEO対策を一気通貫でおまかせいただけます。貴社サイトを無料で分析するサービスも実施中ですので、お気軽にご相談ください。
SEOに関するご相談があれば、ぜひipe(アイプ)へご相談ください。