MUMとは?特徴やSEOへの影響について解説
Googleの新しい検索技術「MUM(Multitask Unified Model)」はユーザーが欲しい情報を予測し、より多く、より適切に提供することを目指すアルゴリズムです。一部の仕組みはすでに実装されており、コロナ禍において有益な情報を世界中に提供しています。この記事では、MUMの特徴や現状、SEOへの影響を解説します。
MUM(Multitask Unified Model)とは?どんなもの?
MUMとは、新しいGoogleの検索アルゴリズムのことを指します。「Multitask Unified Model」の略で、従来使用されていた「Bert」を代表とする自然言語処理(NLP)よりも複雑な作業を可能にします。
MUMの特徴
・画像情報を識別する
・言語の壁を越えて情報を共有する
MUMは、従来よりもマルチタスクが得意な検索技術です。そのマルチタスクにはどんなものが含まれているのか、MUMの大きな特徴についてご説明します。
曖昧な検索クエリを理解し専門家のような回答を実現する
MUMは従来の検索技術「BERT」の1,000倍以上も強力と紹介されています。複雑な情報を理解し、今までのような検索クエリの言語を理解するのはもちろん、微妙なニュアンスにも対応します。
画像情報を識別する
MUMは高度なAIを有しています。そのため、テキスト形式の情報だけでなく画像形式の情報と連携させて、ユーザーにとって有益な検索結果を提示できます。
言語の壁を越えて情報を共有する
あらゆる言語データを学習しているMUMは、言語の壁を越えてユーザーが欲している適切な情報を提供できます。75の異なる言語とでのトレーニングがされており、言語間で情報共有することでこの機能が実現しています。
MUMの理想に到達するための3段階
中期目標:画像情報から検索ニーズを満たす
短期目標:言語を越えた情報収集を可能に
MUMはまだ導入されておらず、実験段階の検索技術です。そのため、Googleは短期的目標・中期的目標・長期的目標の3段階に分けてMUMの運用を考えています。それぞれの目標の内容を詳しくみていきましょう。
長期目標:一言で答えられない問題への回答
引用:MUM「情報を理解するための新しいAIマイルストーン」
Googleは「MUM」の長期目標として、一言で答えられない問題への回答を掲げています。従来の検索では、知りたい内容を文章化して入力しても、ニーズに合う回答は得られません。得られるのは「特定の質問への回答」だけで、いわば一問一答のような質疑応答だけが成立します。つまり、ユーザーが知りたい「回答」はいくつものWebページに分かれ、ユーザー自身が検索ワードを変えながら能動的に情報を収集しなくてはならないのです。
一方MUMは、入力された検索クエリから複雑な検索ニーズを汲み取り、検索ワードに関連する記事や動画、画像などで適切な検索結果を提供することを目標としています。従来の検索結果のような単純な回答だけでなく、専門家と話しているような複雑な回答が可能です。したがって、ユーザーがサジェストキーワードを変えながら何度も検索する手間が削減されます。
中期目標:画像情報から検索ニーズを満たす
MUMは文字の情報だけでなく、画像情報も識別することを目標としています。この目標が達成されると、検索画面に画像とテキストでの質問を挿入し、質問の文脈から画像を分析した回答が得られます。例えば、とある山を登ったときに履いたブーツの画像とともに富士山でも使えるかを検索すれば、ブーツが富士山に適しているかどうかがわかるでしょう。さらに、富士山登山に適したおすすめの装備も紹介してくれます。
短期目標:言語を越えた情報収集を可能に
「曖昧な検索意図の理解」のためにも欠かせないのが、言語を越えて学習し、検索クエリを紐づけていくことです。MUMは言語の壁を越えて情報を共有することで、この機能を実現しています。
実はこの仕組みはすでに実装されているのをご存じでしょうか。新型コロナウイルスのワクチンに関する情報提供の場面でMUMのこの機能は活用されています。
コロナウイルスワクチンを表す単語は言語によっていくつもの種類があり、従来の検索技術では名称全てを紐づけて理解するのに多くの時間を要していました。ところが、 MUMはたった数秒でワクチン名の種類を識別し、コロナに関連した検索クエリに対しての検索結果表示に貢献しています。
このように、ユーザーが利用する言語以外の単語も紐づけて理解し、適切に提供するのはもちろん情報理解に活かすのがMUMの短期目標です。この機能により、言語間での情報量の差が無くなっていくことが予想されます。
MUMでSEOはどう変わる?
長期的な目標に位置づけられている「ひと言で答えられない問題に回答する」が実現すると、従来のSEOコンテンツは大きく変化するかもしれません。例えばMUMが本格的に導入されれば、今までは人力で行っていた一連の業務が完全に消滅する可能性があります。
検索意図を理解し、ユーザーが必要としている情報を提供することは、コンテンツSEOで長年行われていることでもあります。関連キーワードやサジェストキーワードから長く複雑な検索意図を理解し、コンテンツをまとめ上げてユーザーに提示することは、人間の手によって行われていましたが、それが今後は変わっていく可能性もあります。Google自身がインデックスされた情報を基に、検索意図を満たす記事ページを超える検索結果を提示できるようになると、今後はもっと別の形態のコンテンツを制作することが、新時代のコンテンツSEOと呼ばれるようになるかもしれません。
すでにMUMは一部実装されている!今後の動向に注目
次世代型の検索アルゴリズムであるMUM(Multitask Unified Model)は最終的にユーザーの検索意図を理解し、より豊富に、より適切な検索結果を実現する仕組みです。コロナ禍ですでに一部実装されており、MUMの完全実装が実現する日はそう遠くないかもしれません。
MUMの実装は、コンテンツSEOに大きな影響を与え、全く新しいものにする可能性を秘めています。今後の動向に注目しましょう。
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