マイルストーンとは?意味や使い方、作り方やテンプレートツールなど
ビジネスにおけるマイルストーンは、あるプロジェクトの業務スケジュール管理において、進捗管理しやすいように設けた「節目や中間目標」のことです。 今回はマイルストーンに焦点を当て、その概要や具体例、メリット、設定時のポイント、役立つツールなどをご紹介します。気になるポイントを一挙確認してしまいましょう。
マイルストーンの意味とは?
ビジネスにおけるマイルストーンは、あるプロジェクトの業務スケジュール管理において、進捗管理しやすいように設けた「節目や中間目標」のことです。
例えば、あるプロジェクトを始める際、「企画決定」までが1つのマイルストーン、そのための「要件定義」→「設計完成」が次のマイルストーンのように、プロジェクトの節目節目で段階を踏んで目標を設定していくイメージです。
一般的にプロジェクトの工程が複雑化・長期化しそうな場合によく用いられる手法で、プロジェクトメンバーのモチベーション維持や取り組むべき業務の分節化・明確化に活用されます。
マイルストーンの語源
マイルストーンは、英語でmilestoneといい、マイル(mile=距離)とストーン(stone=石)を語源とした言葉です。その起源は、古代ローマ帝国に遡ります。当時、主要な街道には1ローマ・マイル(約1000歩)ごとに標識が設置されていました。これがマイルストーンの原型です。日本においては、一里塚がその相当する存在となります。
この標識の発想は、鉄道や道路にも取り入れられ、起点から中間地点の距離を示すための標石として広く用いられるようになりました。
そして現代では、ビジネスシーンにおいて進捗管理を表す重要な概念としてマイルストーンが活用されています。プロジェクトや企業の成長において、重要なタスクや目標を達成することで、進展が確認できる点を意味します。
マイルストーンの具体例
ここでは、各プロジェクトにて、設定すべきマイルストーンの例を記載しました。ぜひ参考にしてみてください。
プロジェクト例 | マイルストーン段階 |
---|---|
①システム開発 | 1段階:要件定義
2段階:内部設計 3段階:外部設計 4段階:実装 5段階:テスト 6段階:リリース |
②新商品開発 | 1段階:企画立案
2段階:商品設計 3段階:量産設計 4段階:試作 5段階:評価 6段階:量産 |
③Web記事作成 | 1段階:情報収集
2段階:記事作成 3段階:チェック 4段階:反映 |
マイルストーンのメリット
ここでは、マイルストーンを設定するメリットを3点解説します。
①タスク完了目途が明確になる
マイルストーンを設定する最大のメリットは、いつまでにタスクを終わらせるべきか明確化できる点です。
特に中長期的なプロジェクトにおいては、プロジェクト完了までの道のりが遠いため、今すべき重要なことがわからなくなりがちです。
中間目標を適切に設定すれば、今すべき業務が明確になるだけでなく、チームメンバーもスムーズに仕事に着手しやすいでしょう。
②モチベーションを維持しやすい
長期化するプロジェクトでは、数ヶ月〜数年後のゴールに向けて、日々の業務に着手します。
人間の心理として、終わりの見えない目標に向かって、全力で走り続けることはなかなか困難です。
チームのモチベーション管理にマイルストーン活用が快適と言えるでしょう。
③プロジェクトの状況把握に役立つ
プロジェクトの状況把握に役立つ点もマイルストーンを設定するメリットです。
長期化するプロジェクトほど、中間状況の状況把握は重要要素です。
またマイルストーンは、クライアントやステークホルダー(利害関係者)にプロジェクトの進捗状況を説明する際にも役立つため、必ず活用するようにしましょう。
マイルストーンの作成手順
プロジェクトを成功させるためには、適切なマイルストーンの作成手順をおこわなければなりません。
マイルストーンの作成手順は以下の手順です。
- ガントチャートを作る
- 期日とマイルストーンを設定する
- タスクを明確にする
- 担当者を決める
ガントチャートを作る
ガントチャートは、ツリー構造とチャート(横棒)で表現される作業管理ツールです。タスクや作業の進捗状況を視覚的に把握するための棒グラフであり、ボリュームやプロセスを一目で把握できる特徴があります。
始めにガントチャートを作成することで、タスクの依存関係や期間を把握し、リソースの効率的な割り当てやスケジュールの調整が可能になります。
ガントチャートは、エクセルやスプレッドシートで作成できます。例えば、行にタスクを、列に日付を配置し、セルに期間を入力するだけで比較的簡単に作成できます。表計算ツールを使うと、さらに作成しやすいのでおすすめです。
ガントチャートは、プロジェクト全体の見通しを得るために欠かせないツールと言えるでしょう。
期日とマイルストーンを設定する
マイルストーンを作成するためには、期日とマイルストーンを設定しなければなりません。
まずは、プロジェクトの目標やゴールを明確にし、各タスクの開始日と終了日を設定します。次に、プロジェクトの重要な節目や成果物を示すマイルストーンを設定します。
ただし、マイルストーンの期日は納品日と一致させるのは避け、修正やトラブルを想定して余裕を持って期日を設定することが重要です。これにより、進捗状況を把握しやすくなり、プロジェクトの管理がスムーズに行えるでしょう。
タスクを明確にする
マイルストーンの作成手順には、タスクを明確にする重要なステップがあります。マイルストーンを設定したら、次にそれを達成するための具体的なタスクを洗い出し、細分化しましょう。タスクを細かく記述することで、各工程に必要な時間を正確に算出でき、プロジェクトのスケジュールをより詳細に組み立てることができます。
タスクの明確化により、プロジェクトメンバーは自分の担当範囲を理解しやすくなり、責任範囲が明確化されます。さらに、進捗状況の把握や遅延のリスク管理もしやすくなるでしょう。
タスクの明確な洗い出しはプロジェクトの成功に欠かせない要素であり、スムーズな進行と目標の達成が見込めます。
担当者を決める
明確にしたタスクに対して担当者を設定しましょう。担当者は、タスクに必要な作業を計画どおりに実行し、進捗を管理することで、各タスクの責任が明確になります。
担当者の決定は、プロジェクトの成功に向けて不可欠な要素です。担当者が責任を持ち、タスクを効率的に進めることで、全体のスケジュールが守られ、目標達成に近づけるでしょう。
また、もしタスクに遅れが生じた場合でも、担当者ごとに調整がしやすく、プロジェクト全体の計画の立て直しや再調整を行いやすいメリットもあります。
マイルストーンを設定する際のポイント
では、実際にマイルストーンを設定してみましょう。ここでは、マイルストーンを設定する際の重要ポイント8点について解説します。
- 目標に向けて必ず通過すべきポイントはどこか考える
- ステークホルダーを明確にする
- 現実的なスケジュールを組み立てる
- マイルストーンの数にこだわらない
- タスク漏れを意識する
- ガントチャートを作成する
- 確認、改善のサイクルを回す
- 達成したらお祝いする
目標に向けて必ず通過すべきポイントはどこか考える
マイルストーンは、中間目標、いわば道しるべです。
プロジェクトにおいて、遂行すべきポイントを明確化にしないと、完遂まで辿り着くことは困難です。
効率的にゴールに向かうために、必ずやるべきことを明確化しましょう。
ステークホルダーを明確にする
どのポイントで他部署や外部とのやり取りが発生するかを明確にすることで、ステークホルダーとのやりとりがスムーズになります。
特に外部との折衝がある責任者は必ずステークホルダーを明確にしておきましょう。
現実的なスケジュールを組み立てる
プロジェクトタスクの比重は担当者ごとに異なります。
無理のあるマイルストーンを設定してしまうと、スケジュール通りにプロジェクトが進行せず、せっかく設定した意味が薄れてしまいます。
作業期間や分担は、必ずプロジェクトの責任者・担当者と確認を取りながら決定するよう心がけましょう。
マイルストーンの数にこだわらない
マイルストーンを設定する際のポイントは、プロジェクトによってマイルストーンの数は異なることです。数個しかないプロジェクトもあれば、何百個と設定されているプロジェクトもあります。重要なのは、数にとらわれず、プロジェクトの進行中に起こる重要なイベントや時点を捉えてマイルストーンを設定することです。
プロジェクトチームは、成果物や重要なタスクの完了、重要な判断の時点など、プロジェクトの成功に影響を与える要素をマイルストーンとして設定するようにしましょう。
タスク漏れを意識する
マイルストーンの設定時、タスク漏れを意識した具体的なタスクを割り振ることで、プロジェクト進行のミスや遅れを軽減できます。
できるだけ詳細にタスクを決定することで、プロジェクトを進行しやすく、変更・修正があった場合の対応も少なくなるでしょう。
ガントチャートを作成する
マイルストーンを設定する際、ガントチャートを作成しましょう。
ガントチャートとは、プロジェクト管理や生産管理などで工程管理に用いられる表の一種です。
ガントチャートを作成すれば、作業計画を視覚的に表現し、「全体の計画を見える化」できることから、プロジェクトの進捗管理が簡単になります。
確認、改善のサイクルを回す
マイルストーンは設定したら終わりではなく、確認と改善のサイクルを回さなければなりません。マイルストーンの設定はプロジェクトのスタートに過ぎず、その後の管理が必須です。
定期的なマイルストーンの確認によって、プロジェクトの現状を正確に把握できます。進捗状況や問題点を洗い出し、改善策をつなげやすいメリットがあります。
また、進行中のプロジェクトは予測不可能な変化が起こることがあります。そのため、マイルストーンを達成するためには柔軟性と適応力が必要です。確認と改善のサイクルを回すことで、プロジェクトチームは素早く対応し、目標達成に向けてプロジェクトを円滑に進めることがでしょう。
達成したらお祝いする
マイルストーンの目標が達成したらお祝いをすることも有効的です。なぜなら、マイルストーンは楽しく活用することで、チームのモチベーション向上とチームワークの醸成につなげることが期待できるからです。
大きなプロジェクトマイルストーンが完了したら、例えば打ち上げやお祝いのイベントの開催を検討してみましょう。これにより、チームの士気が高まり、達成感を共有できます。また、お祝いすることで、チームメンバーは自分の貢献を認知されたと感じ、より一層プロジェクトに取り組む意欲が湧き上がるでしょう。
マイルストーンに役立つプロジェクト管理ツール
現在では、Backlogをはじめとしたプロジェクト管理ツールが多数存在しています。
プロジェクト管理ツールを活用すると、ガントチャートはもちろん、誰でも簡単にマイルストーンを設定できます。
またリアルタイムで進捗共有が可能になるため、プロジェクトの参画者が多数いる場合にも便利です。
【おすすめのプロジェクト管理ツール】
ツール名 | おすすめ機能 |
---|---|
①Asana |
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②monday.com |
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③Wrike |
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マイルストーンの関連用語
ここでは、補足情報として、マイルストーンの関連用語について幾つかご紹介します。
語句の名称 | 意味 |
---|---|
ターニングポイント |
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ロードマップ |
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メルクマール |
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マイルストーンと似た用語とその違い
マイルストーンは、プロジェクトや業務を進める際に頻繁に使用される用語ですが、その他にも、マイルストーンと似た用語が存在します。
ここでは、マイルストーンと似た用語との違いを解説します。
スケジュール
スケジュールは、日程表や予定表であり、プロジェクトにおける全てのイベントやタスクを時間軸に沿って記載するものです。スケジュールはプロジェクトの進行管理に欠かせず、各タスクの開始・終了日を把握するのに役立ちます。
一方、マイルストーンはスケジュールの一部です。プロジェクト全体に対して設定される特定の重要なポイントを指し、プロジェクトの進捗を示す節目や期限、プロジェクトの重要な成果物の完成や重要なイベントを表します。
スケジュールの中で特別な意味を持つポイントや期限として置かれたものがマイルストーンです。スケジュール全体の中でプロジェクトの進捗や成果を把握するための目印として重要な役割を果たします。
ガントチャート・WBS
ガントチャートとWBS(Work Breakdown Structure)は、プロジェクト管理で用いられる「作業分解構成図」のことで、プロジェクトを完了させるために必要な作業を詳細に分解して表にしたものです。
ガントチャートはタスクの進行状況を視覚的に把握でき、WBSは全体の構成をわかりやすく示す特徴があります。
マイルストーンの設定には、まず作業全体を洗い出す必要があるために、ガントチャートやWBSを先に作成することが重要です。これにより、プロジェクトの目標や重要な節目が明確化され、マイルストーンの設定がスムーズに行えるでしょう。
マイルストーンに関するよくある質問
マイルストーンとはどういう意味ですか?
マイルストーンは、ビジネスシーンにおいてプロジェクトや業務進捗の区切りや中間目標を指す重要な用語です。ビジネスの進捗(マイル)ごとに計測するイメージで、次の計測地点(ストーン)がいつで何であるべきかを示します。
マイルストーンは、重要なアクションやイベントを指し、プロジェクトの進行管理や目標達成に不可欠な指標として活用されます。
マイルストーンの使い方の例は?
マイルストーンの使い方の例を考えてみましょう。プロジェクトがスタートした際、最初のマイルストーンは「企画案(計画書)決定」です。次に「要件定義」が終了するまでが次のマイルストーンとなるでしょう。
さらに「実行」「評価」「改善」といった形で節目を設定していきます。このように、プロジェクトの工程が長期化し複雑になる場合に、マイルストーンを使うことで進捗を管理し、目標達成に向けた道筋を明確にすることができます。
マイルストーンは、自社のプロジェクトにあった使い方をするようにしましょう。
マイルストーンとタスク、目標の違いとは?
タスクは具体的な作業を指し、マイルストーンは複数のタスクをこなすことで到達する目標地点です。マイルストーンは目標の一つであり、プロセスを振り返る指標でもあります。
一方、目標はプロジェクト全体を通じた結果を示すものです。マイルストーンはプロジェクトの進捗を明らかにし、目標に向けた進行状況を管理する役割を果たします。それぞれの役割や特性により、プロジェクトの成功に重要な要素となります。
マイルストーンを設定し、効率的に業務をこなそう!
このページでは、マイルストーンに焦点を当て、その概要や具体例、メリット、設定時のポイント、役立つツールなどについて解説しました。
マイルストーンは、プロジェクトを計画通りに完遂するために必要な「節目、中間目標」です。
大きなプロジェクトではなくても、日常的に設定して作業を進めることで、スケジュール管理やタスク管理を効率化することができます。
プロジェクトメンバーのモチベーション管理や今すべき業務の明確化に繋げるためにも、まだ自社でマイルストーンを導入したことがない場合は、ぜひこの機会に検討してみてはいかがででしょうか。
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