医療・美容 公開日:2023.10.30 更新日:2024.03.19 PR
矯正歯科とは?効果や種類ごとの特徴、選び方を徹底解説
歯の並びや噛み合わせに関する悩みを抱えている人は少なくありません。そんな方におすすめなのが矯正歯科。私たちの笑顔をより美しく、健康にするための治療です。この記事では、矯正歯科の概要や、効果、治療方法など網羅的に解説していきます。治療を始める上でのポイントやクリニックの選び方もあわせてご紹介するので、記事を読み終える頃には自分に合う矯正歯科の見つけ方がわかっているはずです。ぜひ最後までご覧ください。
矯正歯科とは?
矯正歯科とは、歯の位置や噛み合わせの不正を診断、治療する歯科の専門分野を指します。矯正歯科の治療は、主に歯列矯正治療として知られており、患者の年齢や症状に合わせて、さまざまな方法や装置が用いられます。数年単位の長期間をかけて理想的な歯並びに歯を少しずつ動かしていく施術が一般的です。
近年、健康面はもちろん、審美面でも注目が集まっています。
矯正歯科治療で得られる効果
歯列矯正と聞くと、多くの人は美しい歯並びや見た目の向上をイメージするかもしれません。しかし、矯正歯科治療のメリットはそれだけではありません。実際には、その効果は多岐にわたり、日常生活の質を向上させる点も多く含まれています。以下に、その主な効果をいくつか紹介します。
口元や顔のバランスがきれいになる
矯正治療を受けることで、不均一だった歯の配置や不適切な噛み合わせが改善されると、口元の全体的なバランスが整い、その結果として顔立ち全体が一層引き締まった印象となります。顔のシルエットが変わることで自信を持って笑顔を見せられるようになることも、この治療の大きなメリットの一つです。
発音がよくなる
歯の位置が不適切であると、特定の単語や音の発音が不明瞭になりがちです。特に、「さ」や「し」、「す」といった音が正確に発音しにくくなることがあります。矯正治療によって歯の配置が整えられると、舌の動きとの連携がスムーズになり、これにより発音のクリアさが増します。
歯および顎関節の負担が減る
歯の並びや噛み合わせの問題は、時間とともに歯や顎関節に不要なストレスを与えてしまいます。このストレスは歯の早期摩耗や顎関節症の原因となることがあるため、これを放置することは望ましくありません。矯正治療を受けることで、このようなリスクが大幅に減少し、長期的な口腔の健康をサポートします。
虫歯や歯周病になりにくくなる
歯の密集や不均一な位置は、清掃が難しくなるため歯垢や歯石の蓄積を招きます。この状態が続くと、虫歯や歯周病のリスクが高まります。矯正治療により歯の位置が適切に整えられると、ブラッシングやデンタルフロスの使用が効果的になり、これにより口腔内の衛生状態が良好に保たれるようになります。
歯が長持ちする
矯正治療による正しい噛み合わせと、1-4で述べた口腔衛生の向上は、歯の健康寿命を延ばす鍵となります。適切なケアと組み合わせることで、歯が一生涯健康に機能する可能性が高まります。
矯正歯科治療の主な種類
歯列矯正の方法は一つとは限りません。技術の進化や個々のニーズに応じて、多様な治療法が考案されてきました。選ばれる治療法は、矯正の目的、患者の年齢、費用、治療期間など様々な要因によって異なります。矯正歯科治療における主な方法を見ていきましょう。
ワイヤー矯正
表側 | ・歯の表面にブラケットとワイヤーを取り付ける。 ・目立ちやすいが、治療効果が確かで多くのケースに適用可能。 ・価格が比較的手頃で、治療の進行状況が容易に確認できる。 【治療期間】2~3年 【費用】70万円~105万円 |
裏側 | ・歯の裏側にブラケットとワイヤーを取り付ける。 ・外からはほとんど目立たないため、見た目を気にする人に適している。 ・口の中での違和感が強くなることや、発音に慣れる必要がある。 【治療期間】2~3年 【費用】100万円~150万円 |
ハーフリンガル | ・歯の一部(上部あるいは下部)の裏側にブラケットを取り付ける。 ・見た目の変化が裏側全体よりも少ない。 ・違和感や発音への影響も裏側全体より軽減される。 【治療期間】2~3年 【費用】80万円~120万円 |
ワイヤー矯正は、歯科矯正治療の中でもっとも一般的に行われる方法です。ブラケットと呼ばれる小さな金属やセラミックの器具を歯に固定し、それにワイヤーを通して歯の動きをコントロールします。表側矯正は歯の表面にブラケットを取り付ける方法、裏側矯正は歯の裏側にブラケットを取り付けるため、外からは目立たないという特徴があります。ハーフリンガル矯正は、歯の上部あるいは下部のみ裏側にブラケットを取り付ける方法です。
マウスピース矯正
・透明なプラスチック製のマウスピースを用いて歯を動かす。 ・目立ちにくく、取り外しが可能なため生活に合わせたケアが容易。 ・軽度から中度の歯並びの問題に特に適している。 【治療期間】2~3年 【費用】90万円~110万円 |
マウスピース矯正は、透明なプラスチック製のマウスピースを用いて歯を動かす治療法です。個人の歯型に合わせて作成され、取り外しが可能なので、食事や歯磨きの際に邪魔になりません。目立ちにくいのも大きな特徴です。
コンビネーション矯正
・複数の矯正治療法を組み合わせて使用する。 ・重度や複雑な歯並びの問題に対応可能。 ・治療期間や方法によってはコストが高くなる可能性がある。 【治療期間】2~3年 【費用】100万円~150万円 |
コンビネーション矯正は、上述のワイヤー矯正やマウスピース矯正を組み合わせて使用する治療法です。重度の歯並びの問題や複雑な状況に対応するため、複数の方法を組み合わせて治療を進めます。
外科矯正
・顎の骨の位置や形状を変えるための外科手術を伴う。 ・顎の骨自体の問題に対応するため、大幅な変化をもたらすことが可能。 ・手術を伴うため、リスクや回復期間を十分に検討する必要がある。 【治療期間】2~3年 【費用】200万円~300万円 |
外科矯正は、歯の問題だけでなく、顎の骨の位置や形状に問題がある場合に行われる治療法です。外科手術を行い、顎の骨を適切な位置に移動させ、その後に矯正治療を行って歯の位置を整えます。
インプラント
・失われた歯を人工の歯で置き換える治療法。 ・ジタン製のインプラント体を顎の骨に埋め込む。 ・自然な見た目と機能を持ち、長期的な持続性がある。 【治療期間】1~2年 【費用】100万円~200万円 |
インプラントは、失われた歯を人工の歯で置き換える治療法です。ジタン製のインプラント体を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を取り付けます。矯正治療と直接関連は少ないですが、全体的な歯並びや噛み合わせの改善の一環として行われることもあります。
矯正治療を始めるのに最適な時期は?
矯正治療を始めるのに最適な時期は、年齢や歯の状態によって異なります。最適な時期や治療法については、矯正歯科専門医との相談が必要です。以下、各成長段階における目安をご紹介します。
子ども
6歳から8歳頃に行われる矯正治療は、顎の成長を監視し、必要に応じてガイドすることを主な目的とします。これにより、永久歯が正しく並ぶためのスペースを早期に確保することができます。
また、おおよそ8歳から12歳頃の乳歯と永久歯が混在している時期は、歯の並びやかみ合わせを早期に矯正できるという意味でおすすめです。
学生
一般的に永久歯が生え揃い始める12歳頃は矯正治療を始めるのに最適な時期とされることが多いです。青春期には顎の骨がまだ成長しているため、矯正治療の効果を最大限に得ることが期待できます。
ただし矯正治療は青春期を超えても受けることができます。この時期は、外見に対する意識が高まるため、見た目を気にして裏側矯正やマウスピース矯正を選択する人も多いです。
大人
矯正治療は大人になっても受けることができます。現代の矯正技術は成人向けの治療法も非常に進化しており、インビザラインや裏側矯正などの目立たない治療法が人気です。ただし、大人の場合は骨の成長が停止しているため、治療にかかる期間や方法が青春期や学生時代とは異なることがあるので、医師によく相談しましょう。
成人時の治療は、見た目だけでなく、歯や顎の健康を維持するための予防的な側面も持っています。
矯正歯科を選ぶ際の7つの比較ポイント
矯正歯科治療は時間とコストがかかることが多いため、クリニック選びは非常に重要なステップです。適切なクリニックを選ぶことで、治療の質や結果、通院のしやすさなど、多くの点でメリットを享受できるでしょう。矯正歯科クリニック選びの際に比較・検討すべき7つのポイントを詳しく説明します。
対応できる治療の種類
矯正歯科のクリニックには様々な治療法が存在します。具体的に自分が望む治療法、例えば裏側矯正、マウスピース矯正、外科矯正などが提供されているか確認することは非常に重要です。一部のクリニックでは特定の治療法のみを取り扱っている場合もありますので、前もって確認しておくと後で無駄な手間や時間を省くことができます。
費用
矯正治療はしばしば高額となるため、治療費やその支払い方法について明確に理解しておくことは必須です。各クリニックで治療費は異なるため、自分の予算に合わせて最適なクリニックを選択することが求められます。また、分割払いや保険適用が可能かどうかも重要な判断基準となるでしょう。
立地
矯正治療は通院が必要なため、クリニックの場所や交通アクセスの良さは非常に大切です。自宅や職場、学校からの距離、最寄り駅からの徒歩時間など、通院の便利さを基にクリニックを選ぶと良いでしょう。
診療時間
矯正治療には長期間の通院が伴いますので、診察時間や休診日、土日・祝日の診察可否など、自分の生活スタイルやスケジュールに適合するかどうかを確認することが重要です。
日本矯正歯科学会認定医の在籍有無
日本矯正歯科学会認定医は矯正治療のスペシャリストとして認められています。そのため、このような専門家が在籍しているクリニックは、高い技術力と知識を持つ医師による治療が期待できます。
設備
最新の設備や技術は治療の質や効果を高める要因となります。最先端の技術や機器を取り入れているクリニックは、治療の精度や効率性が向上する可能性が高まります。
症例や口コミ
過去の治療症例や、他の患者からの口コミは、クリニックの信頼性や実績を判断する際の貴重な情報源となります。特に、同じような症状の患者の治療結果や経過を知ることで、自分自身の治療に対する期待や不安が具体的になります。
まとめ:矯正治療は一生ものの買い物!吟味して選ぼう
矯正歯科は、歯の不正な位置や噛み合わせの問題を修正し、機能的にも美しくするための治療です。この治療を通じて、顔のバランスの向上や発音の改善、歯や顎関節の健康維持などの多くの効果を得られます。治療方法も多岐にわたり、個人の状態や希望に合わせて選択することが可能。始める時期には、子ども、学生、大人とそれぞれ最適な時期があり、そのタイミングを見極めることが大切です。
また、治療の成功には矯正歯科選びが非常に重要になってきます。治療の種類の幅や費用、立地、診察時間、設備、専門医の在籍有無など、複数のポイントを総合的に考慮することで、自分に最適なクリニックを見つけることができるでしょう。最後に、矯正歯科選びの際には、他の患者の体験談やQ&Aも参考にすると、より明確な判断ができます。矯正治療は長期にわたるものなので、最善の選択を目指しましょう。
矯正歯科選びに関するQ&A
Q. 歯列矯正は痛い?
A. 歯列矯正を始めた直後や装置を調整した後に、歯に違和感や軽い痛みを感じることが一般的です。
この痛みは、歯が動いている証拠でもあり、数日で和らぐことが多いです。痛みの度合いや持続時間は、治療方法や個人の差によるため、痛みが強い場合や長引く場合は、矯正歯科医に相談することをおすすめします。
Q. 歯列矯正で抜歯をするケースって?
A. 歯並びが極端に窮屈でスペースが不足している場合や、上下の歯の噛み合わせを整える場合に抜歯を行うことがあります。
ただし、必ずしもすべての矯正治療で抜歯が必要というわけではありません。
Q. 歯列矯正は保険適用される?
A. 基本的に歯列矯正は保険適用外です。
一般的に歯の矯正は自由診療扱いになります。ただし、以下の場合は保険診療の対象です。
①「別に厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療
②前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)に対する矯正歯科治療
③顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・後の矯正歯科治療
(出典:日本矯正歯科学会「矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは」)
Q. 歯列矯正の費用は分割払いできる?
A. クリニックによっては分割払いやデンタルローンに対応しています。
デンタルローンとは、歯科治療費専用のローンのこと。医院から申込めることが多いですが、医院によって異なるケースも多いので、契約前に確認しましょう。
また矯正歯科の支払方法は、現金・クレジット・分割払い・デンタルローンなどが一般的です。
Q. 歯列矯正後、後戻りするって本当?
A. 後戻りはどうしても発生することがあります。
歯列矯正治療後、所定の位置に移動させた歯が元の位置に戻ろうとする現象を「リバウンド」と言います。これを防ぐために、矯正治療後も一定期間、リテーナーと呼ばれる装置を使用して歯の位置を安定させることが推奨されます。適切なアフターケアを行うことで、後戻りのリスクは低減します。
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