2020年10月、約7年ぶりにGoogleアナリティクスがアップデートし「Googleアナリティクス4」、通称「GA4」が登場しました。従来のユニバーサルアナリティクスとは計測方法や特徴も大きく異なり、機械学習などの新たな機能も実装されています。
今回はGA4について特徴や設定方法、導入のメリット・デメリットをお伝えします。
GA4(Googleアナリティクス4)とは
正式名称「Googleアナリティクス 4プロパティ」、通称「GA4」は2020年10月にリリースされたGoogleアナリティクスの新バージョンです。アプリとウェブを横断的にトラッキングできる「アプリ+ウェブ プロパティ(ベータ版)」が改良され、正式にローンチされたものがGA4にあたります。
旧GA(ユニバーサルアナリティクス)との違い
2013年にリリースされた第3世代のGoogleアナリティクスを「ユニバーサルアナリティクス」といいます。GA4とユニバーサルアナリティクスの大きな違いは、計測の軸です。ユニバーサルアナリティクスではページやセッションを軸に計測していますが、GA4ではイベントを軸に計測しています。イベントは、大きく分けて以下3種類です。
・推奨イベント
・カスタムイベント
自動的に収集されるイベントには「ページビュー」「スクロール」「動画エンゲージメント」など複数のイベントがあります。デフォルト以外で計測したい指標があれば「推奨イベント」や「カスタムイベント」で手動設定します。
ウェブとアプリを横断するとそもそもページという概念がない、ウェブやアプリ内の動画コンテンツが増えているなどを背景に、イベントを軸とした計測に変更されています。
GA4の特徴
ユーザーの行動変化やプライバシー重視の傾向に伴い、計測ツールも日々進化を遂げています。ではGA4は、どのような機能を兼ね備えているのでしょうか。ここでは、GA4の特徴をみていきます。
ウェブとアプリをまたがった計測が可能
ベータ版の「アプリ+ウェブ プロパティ」を基盤に改良された機能が、ウェブとアプリをまたがった計測です。プロパティ内の「データストリーム」という項目から、ウェブとアプリをまたがったユーザー行動を計測することができます。「iOS」「Android」「ウェブ」と3つのデータストリームに分かれているため、あらゆる環境下で横断的な計測が可能となります。
機械学習の導入
Googleの機械学習モデルを導入したことで、ユーザーが将来取る行動を予測できるようになりました。この項目を「予測指標」といい、具体的には「購入」「離脱の可能性」「収益」「解約率」などが解析できます。
プライバシーを重視したデータ収集
近年ユーザーのプライバシーが重視されていることから、各国で個人情報に関する法令や規則が出されています。代表的なものにEUで定められた「GDPR(EU一般データ保護規則)」や、アメリカ・カリフォルニア州の「CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)」があります。日本も例外ではなく、2022年4月から施行される改正個人情報保護法では、Cookieのような個人関連情報の第3者提供に本人の同意が必要などと、これまでとは個人情報の扱いが法的に変わります。
こうした個人情報関連の法令や規則を破ると大きな損害が発生する可能性があることから、GA4ではデータ規制に準拠したツールに改良されています。またこれまでマーケティングや解析で役立っていたCookieの規制は大きく、サードパーティーCookieは段階的に廃止される動きにあります。そんな中GA4は法令や規則を守りつつ、Cookieに依存せずとも解析ができるようになっているのです。
GA4の設定方法
ここではGA4の設定方法を、すでにユニバーサルアナリティクスを導入済みのケースとそうでないケースから解説します。
ユニバーサルアナリティクスを導入済みの場合
ユニバーサルアナリティクスを導入済みの場合、GA4と並行して利用する方も多いでしょう。すでにユニバーサルアナリティクスを導入している場合は、「プロパティ」内の「GA4設定アシスタント」からガイドに従うことで設定が完了します。
しかしこれだけではまだ計測ができない状態なので、以下いずれかの方法で計測タグを設置します。
グローバルサイトタグ(gtag.js) | ①ユニバーサルアナリティクスのプロパティ内「トラッキング情報」から「トラッキングコード」に移動 ②「接続済みのサイトタグ」をクリック ③「G-」で始まるIDを入力 |
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Googleタグマネージャー(GTM) | ①コンテナ内「GA4設定」のタグを新規追加 ②配信トリガー「AII Pages」を追加 |
上記いずれかの方法を完了することで、ユニバーサルアナリティクスとGA4の両方でデータが取得できます。
新規で導入する場合
まずはGoogleアナリティクスのアカウントを作成します。Googleアカウントがあれば誰でも作成できますが、専用のアドレスがある場合にはそのアカウント情報を入力しましょう。GAアカウントが作成できたら、以下の手順で進めていきます。ここではユニバーサルアナリティクスも同時に作成することを前提に、手順を解説します。
②「詳細オプション」をクリックし、「ユニバーサルアナリティクス プロパティ作成」をオン
③計測したいサイトのURLを入力
④「Googleアナリティクス4とユニバーサルアナリティクスのプロパティを両方作成する」のボタンにチェックを入れる
⑤ビジネス情報の入力(任意)
⑥「データストリーム」を開き「ウェブ」を選択、URLとストリーム名を入力
⑦トラッキングコードの作成、計測タグの設置
⑧計測できているかの確認:「リアルタイム>概要」から数値がついているかをチェック
⑦の手順、トラッキングコードの作成と計測タグの設置について詳しく解説します。アカウント発行後は、自動的にGA4の管理画面に遷移します。そこで下記と同じ、トラッキングコードをコピーしましょう。
<script async src=”
https://www.googletagmanager.com/gtag/js?id=G-
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇”></script>
<script>
window.dataLayer = window.dataLayer || [];
function gtag(){dataLayer.push(arguments);}
gtag(‘js’, new Date());
gtag(‘config’, ‘G-XXXXXXXXXX’);
</script>
ユニバーサルアナリティクスも同時に導入するので、上記のトラッキングコードに赤文字の部分を書き加えて、以下のようなトラッキングコードを発行します。
<script async src=”
https://www.googletagmanager.com/gtag/js?id=G-
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇”></script>
<script>
window.dataLayer = window.dataLayer || [];
function gtag(){dataLayer.push(arguments);}
gtag(‘js’, new Date());
gtag(‘config’, ‘G-XXXXXXXXXX’);
gtag(‘config’, ‘UA-XXXXXXXXXX-1’);
</script>
「G-」から始まるのがGA4の、「UA-」から始まるのがユニバーサルアナリティクスのとラッキングコードです。トラッキングコードはプロパティ内「トラッキングコード>トラッキング情報」から確認できます。上記の書き加えたトラッキングコードを計測するWebサイトに、直貼りまたはGTMを使用して設置します。直貼りの場合は、htmlソースの</head>タグの直前に設置してください。
おすすめのタグ設置方法はGTM
直貼りは計測する全ページに貼り付けなければならず、かなりの手間となります。貼り忘れが発生するリスクも高いため、設置もその後の管理も簡単なGTMの使用がおすすめです。
GA4導入のメリット・デメリット
すでにユニバーサルアナリティクスを使用している場合、または今後解析が必要な場合にGA4を導入すべきか否かは迷ってしまうポイントでしょう。ここでは、GA4導入のメリットとデメリットをみていきます。
GA4導入のメリット
・機械学習モデルの活用により、予測計測ができる
・プライバシーに配慮したデータ収集ができる
・計測設定が簡単
・Big Queryと連携できる
ウェブとアプリをまたがった計測や機械学習の予測計測により、包括的かつ長期的なユーザー行動の把握が可能となりました。特に機械学習が導入されたことで、コンバージョンした先のユーザー行動まで解析できます。特に利益を生み出すのに継続的な顧客接点が重要なSaaSサービスなどを展開する事業者にとっては、GA4が重要な役割を果たしてくれるでしょう。
またオン・オフを選択するだけで簡単にデータ計測の設定ができる、かつGoogleが提供するビッグデータ関連機能「Big Query」へデータをエクスポートできる点もメリットです。
GA4導入のデメリット
・運用事例や解説記事等が少ない
・ユニバーサルアナリティクスからのデータ移行はできない
・Googleサーチコンソールと連携ができない
GA4に限ることではありませんが、新しいツールを導入するとツールの使い方などを理解するまでの学習コストが発生します。ユニバーサルアナリティクスと扱い方が違うのはもちろん、一部機能が未実装であったり、GA4に関する解説記事や書籍が少ないことから、手探りで疑問を解決しなければならないケースも出てきます。
またユニバーサルアナリティクスからデータ移行はできないため、1からGA4でデータを蓄積していかなければなりません。さらに現状、GA4とGoogleサーチコンソールの連携ができません。そのためGA4では、ユーザーがWebサイトへ訪問前の行動を把握することは不可能です。
GA4(Googleアナリティクス4)で新たなアクセス解析を!
GA4はユニバーサルアナリティクスではできない、さまざまなアクセス解析が可能となります。ウェブとアプリの横断的な計測や機械学習による予測計測など、長期的なマーケティング戦略に活かせる機能を兼ね備えています。
将来的にはGA4に完全移行される可能性もあるため、早い段階でGA4を導入し、データを取得しておくと良いでしょう。